サウジアラビアで禁止の食べものは?|イスラム教のハラール食品とは何?
世界には、宗教や戒律により禁じられている食べ物があります。
この記事では、イスラム教が生まれた地、サウジアラビアで食してはいけない食べ物や、飲み物について書いています。
たとえば、インドのヒンズー教徒は、牛肉を食べません。
インドでは、牛は、神聖視されているからです。
牛の体には、数億の神様が宿ると考えられています。
日本の仏教では、昔、お坊さんの肉食は、禁じられていました。
そのような過程で、お坊さんの食べる精進料理や懐石料理が生まれました。
肉食の禁止は中国で徹底され,それが日本にも伝わってきたわけです。かなり早い時代から,お坊さんの肉食は法律として禁止されていましたし,一般人にも大きな影響を与えたのです。たとえば,江戸時代の人々は魚や鳥の肉は食べても,いわゆる“獣”の肉をあまり食べなかったのは,このような考え方の影響でしょう。「生類憐みの令」などは有名ですね。
引用元:精進料理とは
では、イスラム教では、食べ物に関してどんな戒律があるのでしょうか?
それは、豚肉の禁止とお酒です。
理由は、イスラム教の聖典コーラン(アラビアでは、「コラーン」といいます)に、「豚肉を食べてはいけない」、また「お酒を飲んではいけない」と書かれているからです。
ヒンズー教の牛と反対に豚は、不浄なものという考え方です。
コーランに書かれている不浄なモノの種類は、他にもあるのですが、後で説明します。
またインドでも豚肉は、不浄なものという観念から食べないそうです。
その代わり、羊や鶏肉を食します。
この記事では、イスラム教が生まれた地、サウジアラビアで食してはいけない食べ物や、飲み物について書いています。
また、イスラム教の人たちが安心して食べることができる「ハラールフード」についても書いています。
サウアラビアで禁止されている食べ物や飲み物は?
サウジアラビアの戒律で禁止されている食べ物は、豚肉です。
飲み物では、お酒が禁止されています。
他のイスラム諸国では、外国人であれば条件付きで、お酒が飲めますが、サウジアラビアでは、外国人でもお酒は飲めません。
なぜなら、サウジアラビア国内では、酒屋はありませんし、外国からのお酒の持ち込みも禁止しています。
サウジアラビア以外のイスラム諸国では、外国人は、お酒を飲むことができます。
アラブ首長国連邦のドバイは、お酒を条件付きで飲むことができますが、同じアラブ首長国連邦でも(アブダビとシャルジャは、お酒は禁止されています)。
サウジアラビアは、国の法律が、コーランに従っていますから、他のイスラム諸国よりも厳しいです。
サウジアラビアへ旅行する人は、豚肉とお酒は、持ち込み禁止ということは、しっかり覚えておきましょう。
空港の入国審査の持ち物検査で、カバンの中に酒類が見つかると入国を拒否されるので、十分注意してください。
ブランデー入りのチョコレートもご法度です。
調味料のみりんやお醤油でもアルコールの含まれるものは、ダメです。
また豚肉加工製品のハムやベーコンなども持ち込みできませんから気をつけましょう。
友達からせっかく頂いた食べ物に豚肉が入っていて残念だった!
豚肉については、私にとっても、友達にとっても非常に残念だった思い出があります。
かなり前になりますが、私が日本へ帰国した際に「シューマイ」を持って来てくれた友達がいました。
せっかく頂いた美味しそうなシューマイでしたが、豚肉が入っているので頂けませんでした。
私は、すごく彼女のお気遣いは、うれしかったのですが、彼女の気持ちは、どうだったのだろうかと察すると申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
このように、あなたのせっかくのご好意が無駄になってしまいますから、イスラム教徒は、豚肉の入った食品は食べることができないことを覚えておきましょう。
ムスリム(イスラム教徒の男性)やムスリマ(イスラム教徒の女性)の友達がいて、何かプレゼントしたいときなどには、この知識は、不可欠ですね。
サウジアラビアの戒律でお酒や豚肉以外に口にしてはいけないものは?
サウジアラビアでお酒や豚肉以外に、食べてはいけないものは、イスラム教の聖典「コーラン」に書かれているところの死肉と血とアッラー以外の名で供えられたものです。
死肉とは、たとえば病気で死んだ動物などが当てはまります。
もちろん、動物の血も飲んではいけません。
アッラー以外の名で供えられたとは、イスラム教以外の人が、と殺したものを指します。
イスラム教では、食肉をと殺するときに必ず唱える文句があります。
「ビスミッラーヒルラハマーニルラヒーム」(慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において)を唱えてから、家畜動物をと殺します。
以下は、コーラン第2章雌牛章2-173の節から抜粋したものです。
サウジアラビアで禁止されている食べ物について書かれています。
2-173.かれがあなたがたに、(食べることを)禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外(の名)で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。
上の文章の「必要に迫られた場合は罪にはならない」という箇所は、「※ハラール食品」が見つからないときという意味です。
※ハラール食品(フード):イスラム教において許可された、合法な食品でイスラム教徒が安心して食することができるものです。
例えば、日本で食する鶏肉や牛肉などは、イスラム教徒でない方がと殺していますから、「アッラー以外の名で供えられたもの」に該当します。
しかし、「ハラール食品」が見つからなかった場合は、どうするかは、個人により違いがあるでしょう。
厳密にどこまで合法なものと認めるかは、個人によって違いますし、宗派やそれぞれの国の文化によっても解釈は、異なります。
日本国内でイスラム信者が、と殺した鶏肉や牛肉などを探すのは、かなり大変なことです。(しかし、最近は、ハラールフードが出てきたので容易に探すことができますが)
そうした場合には、必ずしもイスラム教徒が畜殺したものでなくても良いという考え方です。
どうしても、徹底的にハラール食品でなければ嫌だという人は、自分で鶏をさばくか、もしくは、鶏も牛肉も食べないという選択肢もあります。
その肉を食べようが、食べまいが、それは、個々人の思想により決められることになります。
コーランには、止む終えない状況では、ハラールの条件を全部みたしていなくても肉を食べてもいいよと書いていますから食べても罪にはなりません。
イスラム教のハラールフード(ハラール食品)とは?
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イスラム教の「ハラール」フードとは、今までの説明でなんとなくわかったという方もいるのではないでしょうか。
「ハラール」の意味は、イスラム教で「許可された、合法な」という意味です。
「ハラール」の反対の言葉は、「ハラーム」で「禁止された、禁じられた」という意味になります。
では、「ハラール」の条件とはなんでしょう?
- ニワトリや牛肉、羊肉、ラクダ肉、うさぎなどの家畜をと殺する人は、イスラム教徒であること
- 畜殺するときは、必ず「ビスミッラーヒルラハマーニルラヒーム」(慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において)と唱えること
- 調理場の包丁やまな板、オーブンなどの調理器具は、豚肉などイスラム教で禁止されている食べ物を扱っていないものを使用すること
上のような条件で調理された食べ物が、「ハラールフード」です。
もちろん、加工食品でも豚肉やラード、豚の骨を使ったスープ(ポークエキス)などの混ざっていない食べ物が「ハラールフード」になります。
イスラム教のハラールフードのマークは?|ハラール認証とは?
イスラム教のハラールフードのマークは、あなたもスーパーなどで、目にしたことがあるのでは、ないでしょうか?
上のマークは、私がダミーで作ったものですが、「ハラール」を表しているアラビア語とローマ字のハラール(HALAL)が、マークの中に書かれています。
最近、テレビなどのメディアで「ハラール」という言葉や、加工品に記されている「ハラール」マークを目にすることが多くなってきました。
この「ハラール」マークは、イスラム教徒の方が安心して食べられる食品だということを意味します。
つまり、イスラム教徒の方が食肉をと殺し、豚肉もラードもお酒やみりんなどの「ハラーム」な食品や調味料などは一切使っていないことを表しています。
今までなかったハラールフードはなぜ今日本で?
今まで、日本では、「ハラールフード」という言葉は、聞いたことがありませんでした。
では、どうして最近になりこの「ハラールフード」が店頭に並べられ、メディアでもニュースに取り上げられるようになったのでしょうか?
これは、まもなく外国人観光客が3000万人「※26914400万人(2019年/10月時点)」に達することに起因しています。
※26914400万人:出典 日本政府観光局(JNTO)
この観光客の中には、マレーシアやインドネシアなどのイスラム圏から来ている方が沢山います。
その他の理由として、出稼ぎ労働者として日本に定住する人やこれから増えることが予想される移住者などにもイスラム教の方が多くいるからだとも考えられます。
ハラール認証とは?
あなたは、「ハラール認証」ということばを聞いたことがありますか?
「ハラール」フードがあるということは、それを認めてくれる認証機関があるということです。
スーパーで売っている加工食品やレストランなどの飲食店での食べ物は、製造過程を知ることができません。
どのような食材を使い、どんな調味料を使って、どのような調理器具で料理しているかなど、気になっても消費者のイスラム教徒(ムスリム、ムスリマ)は、調べることができません。
なので認証機関が、その食べ物が本当に「ハラール」なのか、製造・調理している会社やお店の原材料、製造工程をチェックします。
その合格基準を満たした場合にその商品や食品に「ハラール認証」を付与します。
ハラールと認められた食品には、「ハラール認証マーク」をつけることができます。
終わりに
外国人観光客が、年間、約3000万人になろうとしています。2020年の東京オリンピックでは、それ以上の観光客が見込まれることでしょう。
イスラム諸国からも沢山の観光客が日本を訪問することになるでしょう。
日本を訪れるイスラム圏の人達に「ムスリムフレンドリーな国」と思ってもらえるように、もしレストランなどで、ムスリム、ムスリマの人を見かけたら、注文した食べ物が「ハラール」かどうかを教えてあげましょう。
豚肉が入っていたり、ラードなどの調味料を使っていると「ハラーム」なので、積極的にちゃんと教えてあげましょう。
いよいよ島国日本も単一民族の国からグローバルな国家として発展していかなければならない時期がやってきました。
他国の文化を尊重し、お互いに理解し合うことで様々な価値観が形成されて、異文化交流もスムーズに行われることになります。
そのような柔軟な価値観が、おもてなしの心を作り上げていく基礎となるものだと思います。