サウジアラビアの世界遺産アハサー・オアシス、進化する文化的景観の特徴と行き方
サウジアラビアの「アハサー・オアシス、進化する文化的景観」は、いつ世界遺産に登録されたのでしょうか。
実は、つい最近の2018年、バーレーンの首都マナーマで開催された第42回世界遺産委員会において登録されました。
サウジアラビアには、5つの世界遺産がありますが、これが5番目になります。
世界遺産のタイトルが、「アハサー・オアシス進化する文化的景観」の「アハサー」は、地名ですが、「オアシス進化する文化的景観」の意味が少し分かりにくいですよね。
この記事では、世界遺産の「アハサー・オアシス進化する文化的景観」の意味と特徴を探ります。
また、リヤドとダンマンからアハサーオアシスへの行き方を説明しています。
サウジアラビアのアハサー・オアシス進化する文化的景観に行くには、どうすればいいの?
サウジアラビアのアハサー・オアシス進化する文化的景観に行くには、どうすればいいの?
まず、その前に、世界遺産「アハサー・オアシス進化する文化的景観」は、どこにあるのでしょうか。
「アハサー・オアシス進化する文化的景観」は、サウジアラビアの東部州のAl Hofuf South(アルホフフサウス)地区のHeritage Village(ヘリティジ ビレッジ)にあります。
ダンマンからサウジアラビアのアハサー・オアシス進化する文化的景観へは、車でどのくらいかかるの?
サウジアラビアの「アハサー・オアシス進化する文化的景観」=( Heritage Village)へのルートは、ダンマンからどのくらいかかるのでしょうか?
ダンマン市内から車で約2時間くらいのところにあります。
2つのルートがありますが、ひとつは、途中に通行止めがあるので、気をつけましょう。
ダンマンから Heritage Village(へリティジビレッジ)へのルートまでの車で行く場合のマップ
地図のURL:https://goo.gl/maps/ty44evTu9VV1uR3o6
リヤドからサウジアラビアの世界遺産アハサー・オアシス進化する文化的景観へは、飛行機や車でどのくらいかかるの?
リヤドから世界遺産「アハサー・オアシス進化する文化的景観」まで行く場合は、リヤドからダンマンまで飛行機で行き、ダンマンから車でHeritage Village(へリティジビレッジ)まで行きます。
リヤドのキングハーリド国際空港からダンマンのキングファハド国際空港までは、1時間程で着きます。
キングファハド国際空港からダンマン市内までは、車で約30分程です。
ダンマンから世界遺産があるHeritage Village(へリティジビレッジ)までは、2時間位かかります。
リヤドからダンマンまで飛行機で行く場合のマップ
リヤドのキングハーリド国際空港からダンマンのキングファハド国際空港までは、1時間位です。
地図のURL:https://goo.gl/maps/G1ZT5QPGcresFA858
リヤドのキングハーリド国際空港から世界遺産があるHeritage Village(へリティジビレッジ)まで車で行く場合は?
リヤドのキングハーリド国際空港から世界遺産があるHeritage Village(へリティジビレッジ)まで車で行く場合は、距離が333キロメートルあるので3時間26分かかります。
アハサー空港から世界遺産があるHeritage Village(へリティジビレッジ)までは車でどのくらいかかるの?
アハサー空港から世界遺産があるHeritage Village(へリティジビレッジ)までは、どのくらいかかるのでしょうか?
アハサー空港からHeritage Village(へリティジビレッジ)までは、車でほんの22分で行けます。
アハサー空港からHeritage Village(へリティジビレッジ)までのマップ
地図のURL:https://goo.gl/maps/MwwmhvNtLDbwpaVm8
世界遺産があるHeritage Village(へリティジビレッジ)の営業時間
月曜日~日曜日まで 16時00分~0時00分
休日の金曜日や土曜日も午後4時からですね。サウジアラビアは、年間を通して日中は暑いので日が傾き始めた午後のお祈りが終わってからの開催が多いですね。
サウジアラビアの世界遺産アハサーオアシス進化する文化的景観の特徴とは?
サウジアラビアの世界遺産「アハサーオアシス進化する文化的景観」の特徴は、どんなものなのでしょうか。
私は、この世界遺産の名称「進化する文化的景観」が気になっていました。その言葉の外観からは、『オアシスが文化的に進歩していき景観が変わってきた』と考えられるのだけれども、なぜか腑(ふ)に落ちないんですね。
そこで、具体的に何がどんなふうに進化してきたのかをさぐっていくことにしました。
そのために、まず世界遺産の特徴をひとつひとつ上げていくことにしました。
世界遺産の「アハサーオアシス進化する文化的景観」のアハサーとオアシスとは?
Congratulations to the Kingdom of Saudi Arabia on inscribing AlAhsa Oasis as a @UNESCO World Heritage site. Al-Ahsa is the largest oasis for producing and cultivating the finest dates in the world w/ a diverse cultural historical background, a promising growth in tourism awaits. pic.twitter.com/vy0Z8JyTIz
— نورة بنت محمد الكعبي (@NouraAlKaabi) June 29, 2018
世界遺産の「アハサーオアシス進化する文化的景観」のアハサーとオアシスとは?
アハサーとは?
サウジアラビアの世界遺産がある東部州のフフーフ地区にある地名です。
アハサーのオアシスの特徴とは?
- アハサーは、人類が文明を持って生活を始める以前の時代から豊富な天然水のわきでるサウジアラビアで一番のオアシス地帯
- アラビア半島は西から東に傾斜しており、水は西部の高地から東部州へと流れていく
- 太古の昔からアハサの水の栄養分が豊かだ
- アハサーのオアシス天然水の泉は、60~ 70個くらいある
- たくさんのナツメヤシの木立がある
- オアシスの周りには、太古の昔からの巨大な岩石の群れがある
- オアシスの周りに人々が集まって来て人口が多く、また農業が行われてきた
- 運河が作られ、庭園などの歴史的な遺跡が多い
- コメの栽培が行われている(バスマティライス)
- 野菜や果物の作物も近年では、豊富に収穫されている
アハサーのオアシスの特徴から考えられる進化する文化的景観の意味するものは?
画像引用元:AL Arabiyaのニュースより
アハサーのオアシスの特徴から考えられる「進化する文化的景観」の意味するものは、なんでしょうか?
上にあげたアハサーオアシスの特徴を考察してみて、コメの栽培と野菜や果物の収穫というところに、注目してみました。
砂漠地帯で、年間降水量が、83.3mmしか降らない環境では、コメを栽培するには、苗を植えてから稲が実り収穫するまでに 、自然な降水量だけでは生育できないはずです。
そこで、オアシスからの地下水を利用してかんがいが行われてきたはずですね。
また、太古の昔からたくさんのオアシスがあったとしても、砂嵐による砂丘の移動による堆積や気候変動による地下水の移動などによってオアシスが消滅する可能性も否定できません。
以下のオアシスの説明をみると納得がいきます。
ブリタニカ国際百科事典のオアシスの解説について
オアシスは、ご存知のように、砂漠など乾燥地域において、水がわき、樹木が生えているところですが、もう少し詳しく調べると以下のようなことがわかりました。
狭義には,周辺の降水地域から供給される地下水が泉となって湧出し,周辺に草木が生育している砂漠中の肥沃な土地。砂漠の下,数十~数百mの深さのところを伏流する地下水の速度は数百m/年といわれ,移動距離は 1500kmに達することもある。オアシスには古くから集落が発達し,交通の要衝となった。気候変化に伴う地下水脈の移動,枯渇,砂丘の移動による埋積によって,オアシスは消滅することがある。
上に書かれた一般的なオアシスの特徴をまとめてみると
- オアシスは、周辺の降水地域から集められる地下水が泉となって、湧き出てきて、それにより草木が生えてくる砂漠の中の肥沃な土地
- 砂漠の下、数十メートルから数百メートルの深さのところを伏流して流れる
- 地下水の移動速度は、年に数百メートルであり、移動距離にすると1500キロメートルに達することもある
- オアシスは、古くから集落が発達して、交通の要衝となっている
- 気候変動により、地下水脈の移動、枯渇、砂丘の移動による埋積によりオアシスの消滅もありえる
以上のことから、わかることは、古来よりたくさんのオアシスを所持していたアハサーのオアシスは、このようなリスクを乗り越え、現代まで延々とその豊富な天然の地下水をうまく利用してきたことがわかります。
なので、アハサーのオアシスは、コメ(※バスマティライスや赤米など)や野菜、果物の栽培が現在も行われているということは、かんがい用水の設備が非常にうまく機能されているということでしょう。
このことが、世界遺産のタイトルにある「オアシス進化する文化的景観」の意味するところだったのです。
古来からのアハサーのオアシスを枯れさせずに、現代まで延々と利用してきて、今もなお、コメ(バスマティライスや赤米など)や野菜、果物など砂漠地帯で豊富に生産されていることは、驚くべきことです。
※バスマティライス:外米と言われてきたもので、長くてパサパサしたお米、インドやパキスタンで主に栽培されている
※赤米:古代米ともいわれ、病害虫や気候の変化に強い
アハサーオアシス進化する文化的景観における設備投資とは?|預言者モハンマドの伝説とは?
アハサーオアシス進化する文化的景観における設備投資とは?
太古の昔から60~70に及ぶアハサーのオアシスを現代まで枯れさせずに、進化させてきたのには、今まで、かなりの設備投資を行ってきたという歴史があります。
以下に、そのことを証明する具体的なアハサーのオアシスに関するかんがい用水の設備について記された「The Twice-Used Water」という記事があります。
アハサーオアシスにおける預言者モハンマドの伝説とは?
アハサーオアシスにおける預言者モハンマドの伝説とは?
「The Twice-Used Water」を執筆した記者は、有名なフォトジャーナリストのTor Eigelandさんです。その記事のなかに、興味深い箇所があったので抜粋します。
“God bless the water of al-Hasa,” the Prophet said. And for centuries thereafter there was a plentiful supply.
引用元:https://archive.aramcoworld.com/issue/197006/the.twice-used.water.htm
上の英文は、「預言者モハンマドが、アッラー(神)に『アハサーに豊富な水が湧き出るオアシスをお恵みください』と祈ったところ、その後何世紀にもわたり水が絶えることがなかった」という意味のことが書かれています。
この伝説は、預言者モハンマドが、アハサーの旅に出かけたときに、オアシスのほとりのある農家の家に泊まったのです。そこのあるじが、「ここでは、水が枯れてしまい、これが私があなたに与える事ができる水です」と差し出されたデーツと水を飲んだという言い伝えがあり、そのときに、モハンマドが神に祈りを捧げたというお話です。
アラビアンアメリカンオイルカンパニー (※アラムコ)の農業技術者による指導
アラビアンアメリカンオイルカンパニー (※アラムコ)の農業技術者による指導とは?
これ以降 「※アラビアンアメリカンオイルカンパニーを(アラムコ)とする」
アハサーの農作物は、主にナツメヤシでしたが、アラムコの農業技術者の指導により、野菜や果物の栽培も行われるようになりました。
アラムコによる砂丘の移動による埋積を食い止める砂丘制御技術採用
アラムコによる砂丘の移動による埋積を食い止める砂丘制御技術採用とは?
アラムコによる砂丘の移動によるオアシスの消滅を食い止めるための砂丘制御技術が採用されました。
スイスのWakuti AGにかんがいシステムを依頼
スイスのWakuti AGにかんがいシステムを依頼とは?
スイスのコンサルティングエンジニアリング会社であるWakuti AGが、すべての農場に水を供給するための完全な新しいかんがい用水を建設しました。
オアシスの60個の主要な泉のうちで、30個がかんがい用水に利用されています。
西ドイツの建設会社に運河の建設を依頼
西ドイツの建設会社に運河の建設を依頼とは?
西ドイツの建設会社であるフィリップホルツマンAGに運河建設のために高額な契約(5100万ドル)をしました。
終わりに
「アハサーオアシス進化する文化的景観」の意味するものは、太古の昔からのオアシスが、すたれずに、現代まで残って、なおそのオアシスの土壌を人間の手で開発させ(かんがい用水や運河など)ることにより新たな景観を生み出してきたということです。
アハサーオアシスにあるナツメヤシの木々、歴史的建造物、運河、庭園は、人間が新石器時代から現在まで進化させてきた、人類と環境の関わりを如実に表していることから世界遺産に認定されたということでしょう。
アハサーのオアシスは、サウジアラビアで一番大きなオアシスであり、そのちかくに巨大な岩石があるのも見どころのひとつです。
一万年前の新石器時代に思いをはせてみるのも楽しいですね。